02.大人の住まい考コラム

引っ越せない理由は何でしょう?


 


「大人のリノベ」をご覧いただいている、「50歳以上」の方に向けた住まいに関する大人の為のコラム。第2回目の今回は、住み替えできない理由について探ったところ、若い世代とは異なる「引っ越せない理由」があることが見えてきました。


ある調査結果を見ると、とりわけ65歳以上の方の場合、住み替え、改善が困難な理由は資金不足という点よりも、「情報不足」という点にあるようです。この調査の場合の「情報の不足」とは、「住宅の性能などの情報が得にくい」、「物件の周辺環境などの情報が得にくい」、「信頼できる施工業者、仲介・販売業者などの情報が得にくい」、「気軽に相談できる専門家の情報が得にくい」といった内容です。資金はあるけれど、知ることができないために踏み切れずに住まいを替えられずにいるとしたら、住宅業界にいる者として責任を感じてしまいます。

住み替え・改善の実現困難な理由

 (注)住み替え・改善の実現困難な理由は複数回答      

( 単位:% ) 
  住宅
  資金の不足  物件の不足 情報の不足
全体 35.1 17.8
27.5
①単身35歳未満 26.1 20.8 21.0
②単身35〜64歳未満  35.0 26.1   24.1
③単身65〜74歳未満  28.6 22.0   27.5
④単身75歳以上 21.8 13.1 28.4
  ⑤夫婦:家計を支える者が65歳未満   33.2 19.0 31.1
⑥夫婦:家計を支える者が65歳以上 22.3 6.5 32.1
⑦親と子:長子5歳以下 46.0 29.3 24.0
⑧親と子:長子6〜11歳 40.1 25.9 22.0
⑨親と子:長子12〜17歳 45.7 22.7  22.5
⑩親と子:長子18〜24歳 43.0 14.6  30.0
⑪親と子:長子25歳以上 31.5 8.0  36.7
出典:「住生活総合調査 平成25年速報値」(国土交通省)
 
 

※資金の不足=「預貯金や返済能力の不足、またはその可能性がある」、「勤務年数などの理由で融資が受けられない、または額が少ない」、「現在の住宅・宅地の売却がうまくいかない」を示す。
※物件の不足=「予算の範囲で気に入った住宅がない」、「民営の賃貸住宅への入居を拒否される」、「公営住宅などへの入居が困難」を示す。
※情報等の不足=「住宅の性能などの情報が得にくい」、「物件の周辺環境などの情報が得にくい」、「信頼できる施工業者、仲介・販売業者などの情報が得にくい」、「気軽に相談できる専門家の情報が得にくい」を示す。

不動産屋はすぐに見つかるのに、気の合う設計者が見つからない

推察するに、不動産の情報はインターネットだけではなく、大手不動産会社でもそれこそ弊社でも、その土地に根付いた不動産屋さんでも同じ情報を共有しています。ですから、どの年齢の方でも、様々な窓口で物件に出会うチャンスはあるわけです。
 
「情報がない」というのは、自宅をリノベーション(リフォーム)したり、購入した物件をリノベーション(リフォーム)する際に「設計や施工をどこに依頼したらいいのか?」がわからない、ということですよね。そんなときにお役に立てるのが、お施主様にぴったりの建築家を探し出してご紹介する、仲介者なのだと思います。
 
思い切って郊外の一軒家を手放し、渋谷区内のマンションへ住み替えをされた方の事例をご紹介しながら、「こんな方法もあるんだ」と思っていただけたら幸いです。

家族の留学中に住み替えをした60代ご夫婦

60代のご夫婦と20代のお嬢様と犬2匹が暮らすための家として外苑前に中古マンション購入+リノベーションをなさったO様。横浜市内の広い一軒家で暮らしていらっしゃったのですが、そのお家を手放し、超都心の60平米台のマンションへの住み替えをなさいました。しかも、お嬢様が留学中に。さぞ驚いたことでしょうね。
 


 
O様が物件を見つけられたのは、弊社ではない他の不動産会社です。ところが見つかった物件はオフィス仕様の空間。「物件は気に入ったけれど、ここで家族と犬たちが暮らすイメージがつかなかった」のだそう。困り果てたところに、弊社へお問い合わせをくださったんです。
 

 
いろいろとライフスタイルを紐解いていくと、個室は不要で、ワンルームのままでいいということがわかりました。その分、人も犬も開放的に暮らせます。 
 
 

 
お嬢様はこのときすでに20代でしたので、「近いうちに家を出て行かれるでしょう。」ということで、リビングのすぐ横がベッドスペースにしました。2016年の今、すでに独立なさったそうですので、今はこのレイアウトではないでしょうね。 
 
さて、バスルームはいかがでしょう。
 
 

 
O様邸はバスルームも開放的。メトロタイルが素敵ですよね。ここはできるだけ広くするために、トイレを通ってバスルームに行くレイアウトになっています。別々にスペースをつくってしまうと、かなり狭くなります。この様なレイアウトでも、仲の良い家族なら、全然問題ないのだそう。
 

 
実は玄関ホールにはワークスペースもあります。この画だけを見て主人(あるじ)が60代のご夫婦だとわかる方は、そういらっしゃらないのではないでしょうか。
 
多くの方が1度目の住まいを取得すると言われている30代のときに見ていたのは、家族の将来のことだったかもしれません。そこで、子供達が大きくなり、やがて巣立っていく過程を包み込んでくれる住まい。そして、子供達が巣立って、夫婦二人ないし自分一人になったり。あるいは生涯ひとり身を貫く方も。50代、60代になったときの家づくりで大切にしたいこととは何でしょうか。
 
家の性能を向上させること、バリアフリーにすることはもちろん大切ですが、趣味やライフスタイルを楽しめるような住まいがあれば、きっともっと楽しい生活が待っていると思えてなりません。50歳を超えてからの住まいは、もっと自由に。もっと自分らしい住まいのカタチを実現してほしいと願っています。